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大阪地方裁判所 昭和52年(わ)3356号 判決 1977年12月26日

被告法人

本店所在地

大阪市東住吉区中野通一丁目二二番地

商号

株式会社多田商店

代表者

多田雄亮

本籍

大阪市西区西本町一丁目五〇番地

住居

大阪府箕面市半町一丁目一一番二三号

会社社員

多田利實

明治四四年一月一日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官足達襄出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告法人株式会社多田商店を罰金一、二〇〇万円に、被告人多田利實を懲役八月に、それぞれ処する。

被告人多田利實に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人株式会社多田商店は大阪市東住吉区中野通一丁目二二番地に本店を置き洋傘、ショール、マフラー等の製造販売業を営むもの、被告人多田利實は昭和二六年四月一三日から昭和五二年六月一七日までの間同社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人多田利實は、同社の業務に関し法人税を免れようと企て、

第一、 同社の昭和四八年七月一日から昭和四九年六月三〇日までの事業年度において、その所得金額が八一、一八六、一三九円で、これに対する法人税額が三一、〇八〇、八〇〇円であるのにかかわらず、売上の一部を除外し、架空仕入を計上し、仮名の定期預金を設定するなどの行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、同年八月三〇日同市平野区平野西二丁目二番二号所在東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三三、九九六、八二七円で、これに対する法人税額が一二、二二三、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により法人税一八、八五七、五〇〇円を免れ、

第二、 同社の昭和四九年七月一日から昭和五〇年六月三〇日までの事業年度において、その所得金額が一一三、五二六、二二二円で、これに対する法人税額が四三、八〇二、二〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、同年八月二九日、前記東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が五一、九七〇、一七四円で、これに対する法人税額が一九、一八八、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により法人税二四、六一三、六〇〇円を免れ、

第三、 同社の昭和五〇年七月一日から昭和五一年六月三〇日までの事業年度において、その所得金額が一六三、二七七、三六三円で、これに対する法人税額が六三、四九八、〇〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、昭和五一年八月二〇日、前記東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が七〇、一六八、四三二円で、これに対する法人税額が二六、二六三、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により法人税三七、二三四、五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

被告法人代表者多田雄亮および被告人多田利實の当公判廷における各供述のほか、第一回公判調書中の検察官請求証拠関係カードに記載の番号1ないし140と同一であるから、これを引用する。

(法令の適用)

被告法人株式会社多田商店につき

一、 判示各所為

各法人税法一六四条一項、一五九条一項

一、 併合罪加重

刑法四五条前段、四八条二項

被告人多田利實につき

一、 判示各所為

各法人税法一五九条一項(所定刑中懲役刑選択)

一、 併合罪加重

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重)

一、 執行猶予

同法二五条一項

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 栗原宏武)

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